ものすごくゆっくりと、でも確実に
2019.11.08

故あって別宅ブログ『洗足池図書館の想いで』を漸次閉鎖していくことにしたので、そのエントリの内から残したいものを選んでこちらに再掲することにした。
時宜的に新規性・整合性に欠けるエントリも混じらなくもないが、いくつかの資料的価値のある ー 殊に政治家/政治家候補の過去履歴を探る人には相応に有益なエントリ群を優先的に再掲していくことになろう。



以下は、ちょうど著作権侵害の件で今また喧しいイケダハヤト師に関するエントリ。
本文始め ー



イケダハヤト師はゆとり世代を代表する知の巨人であり、その先鋭的知性は彼の著作権に対する斬新な感覚によっても証明されているとする意見も少なからずあるようなないような。
ここでは、彼を崇拝するあまり「師」「尊師」の尊称を以て呼ぶ人々のはしくれとして、彼の未来、殊に彼にとっての「次世代」の未来にスポットライトをあてて、フィクションを用いてその未来社会の一端を覗いてみる試みに挑んでみずにはいられなかった。



17年後、漫画家となったイケダハヤト師の娘さん「パパぁ、わたしのコミックを丸々1巻分高解像度スキャンしてウェブ上に無断で掲載して、誰でも無料でいつでも閲覧してダウンロードさえできるようにしてる人がいるの!ウェブに詳しいパパならどうすればいいか教えてくれるでしょ?」

パパ「いいかい、愛する娘よ。キミのそうした考え方は『自分の作品の第一の権利者は自分である』という悪しき旧き価値観に基づくものだね。キミの描いた漫画であっても、人気漫画となった今となっては、実はそれは『みんなの共有財産』なんだよ。キミの漫画に価値を見出だしそれを押し上げてくれた何万何十万何百万という読者のことを忘れちゃいけない」
「その中には経済的理由からキミのコミックをお金を出して買うことができない人だっているはずだよね。キミはそうした人々にタダで、しかも自腹で送料を負担してそのコミックを送り届けたいと思うかい?1人や10人だったら、そうすることもキミの自由、キミの経済的・労力的負担の枠内で容易にできることだろうさ。だが、10万100万もの人々がそうだったとしたら?生活保護を受給している人は今年ついに800万人を超えた。その人々の内の10万、5万、いやたとえ1万人にとどまるとしても、キミのそのコミックを読みたくても読めない人がいるんだよ」
「さてそこで、だ。ここでこそ、ウェブの存在意義が出てくるんだよ。『知の徹底的共有』を可能にするウェブの無限の可能性、だね。キミが自分で頑張らなくても、どこかの誰かがキミに代わって、キミのコミックの無料・即時の共有を可能にしてくれている。キミは自分の著作権、自分の既得権益にあぐらをかいて、そのコミックの持つ『知』の価値・可能性を狭い領域に — お金を出して買った人/者/物にだけ開かれるという狭い領域にとどめておく権限はないんだよ」
「『それじゃあわたしが損するばっかりじゃない!』とキミは憤るかもしれないね。だが、本当にそうなのかな?キミの漫画、キミのコミックの数コマを、ちらっとだけ紙メディア、ウェブ・メディア上で見かけて、興味は惹かれたけど手を出すには至らなかった、という人々が無料で即時に共有できるんだよ?紙のコミックが120万部、ダウンロード版が50万部売れてるキミのコミックが、さらに500万1000万の人々に共有されていくことになるかもしれない。それでも、相変わらずキミのコミックを紙の、あの馴染み深く感情移入しやすい紙のコミックで読みたいという人はそう簡単には減らないだろうし」
「それより何よりキミは、『評価経済』において、その『知的営為』への賞賛によって、より多くの満足 — 承認され支持されているというお金には換算できない満足を得るだろう。しかもその支持はいざという時にはキミを助けてくれさえするだろう。キミの財布に、口座に、たとえ現金が乏しかろうと、キミが一言発しさえすれば多くの見ず知らずの余裕のある人々が、米でも肉でも野菜でも服でも送ってくれるだろう。キミは昔むか〜しのかわいそうなカネの亡者たち的な執着を脱却して、たとえ年収150万円でも真に心豊かでノウマディックな人生を生きられるんだよ。それは何と幸福で新しい生き方であろうか!冒険に出よう!」

娘さん「パパなんてだいっきらい!パパは純然たる創作者ではないからそんなことが言えるのよ!わたしがどんだけの、どんな思いをしてあの漫画を描き始め、歯を食いしばり、レールに乗せ、デビューし、コミック発売にまでこぎつけたと思ってるの!?」
直後、娘さんが出版社と一緒に訴訟に乗り出したのは言うまでもない。



幸か不幸かこうしたことは起こらなかった。
イケダハヤト師本人が2021年に、とある著作権侵害にかかわる訴訟によって85万円の損害賠償を手にすることになるからだった。
今から17年後、漫画家になった娘さんが上記のような著作権侵害を受けた時、イケダ師は全力で娘さんの支援にまわり、当然の損害賠償を受けさしめることだろう。
その時、師はこっそりと心の中で呟くのだ — 「流れよ、2013年7月のあのわが黒歴史」と。









   

プロフィール

Author:demosthenesZ
第一にリバタリアン、ある意味リベラル、ある意味左寄り。
全体主義と衆愚政治がいちばん嫌いだから、です。
twitterでも@demosthenesZ

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