ものすごくゆっくりと、でも確実に

それをやりたい人々がいくらいようとも、手続き上の無理があるため改憲は不可能にして無益・無意味

2013.04.16
私は改憲(言うとしても憲法「改」であり、「改正」とはとうてい言えない)にまつわる論議を思うだけで、あらゆる種類の怒りだけが湧いてきて冷静な言説を紡ぐことに困難を感じる。とはいえ、今夏の参議院議員選挙を考えれば、今のうちに数エントリーを物しておかないわけにもいかない。したがって続く数エントリーでは、「最悪の事態になった時」のためと、「その最悪の事態とはどの程度『最悪』であるのか」を説明・警告するために、リンク&引用多めの、少し退屈でうんざりすることどもを書いていく。


まず、「出席確認」的に。
今言う「改憲」は、各種の自民党が手始めとして掲げる「96条」の改、日本国憲法 第九十六条 —
この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする
— の、「三分の二以上の賛成」を過半数の賛成に改めようという改案である。
これに対して「うん、それで?何がどう問題?」という人を、私は本来相手にしたくないのだが、「ものすごく易しくて」をタイトルに冠する以上は、歯を食いしばって相手にしていこう。


改憲案を発議するのに必要な賛成が2/3以上から過半数に下がるということは、それだけ憲法を改めるのがたやすくなるということだ。つまりは、憲法を改めたいと考える人々により有利になる、ということである。国の最高法規:憲法のような「法を縛る法」「法と政府と行政を監視し縛る法」「全ての法の存在意義の源である法」「日本国を大日本帝国に戻さないための唯一の法」を変えるとなれば、さすがの日本国の国会議員といえども67%以上がわれもわれもと賛成することにはならない。だからこそたった51%が賛成しさえすれば改憲案を発議できるという状態を強引にでも作ってしまいたいわけなのだ。


で、今回のタイトル「手続き的な無理があるため改憲は不可能にして無益・無意味」の部分の謂いだが —
あなたは、「国民投票」が日本では1度も行われたことがないことはご存じだろうか?
また、国民投票を実施するための要件や実務的手順をご存じだろうか?
そしてまた、その国民投票が正当に国民全体の意思を問うものになり得るかどうか、検証するだけの判断材料をどの程度お持ちだろうか?
上記の問いへのあなたの答えがノー、ノー、ノーであったとしても不思議じゃないし、それ自体は咎でもない。
とりあえずリンク先でざっとの理解を得ていただこう。
「国民投票法」って何だろう?:政府広報オンライン
日本国憲法の改正手続に関する法律 - Wikipedia
「法案は改憲派に有利な構造に」— 憲法メディアフォーラム - インタビュー


では、この改憲騒ぎに関わる不思議は、咎は、罪・犯罪的行為は、どこから生まれるか?
「何にも知らない」「どうでもいいでしょ?」「わたし個人にはどっちでも変わりのないこと」というむしろ大多数の日本国民によって不十分な「国民投票」が為され、非常〜〜〜〜に不十分な投票率であったとしても「これが国民全体の意思です」として不十分な — 不当で不必要で無益で無意味で無用で無効で有害な — 改憲が為されてしまうことからである。現時点での「国民投票法」には有効な投票率の最低限(最低投票率)を定めていないという不備があるため、「できるだけ投票率が低いほうが自分たちに有利」という人々/勢力の恣意的な不作為・誘導・工作により、有権者のたった50%40%30%が為した投票行為が国民全体の意思・選択とされてしまう、というナンセンスで有害な現象さえ発生してしまうのだ。この言説が、理論上のものにとどまるものに過ぎず実際的でないと感じる人は、中段のリンク先Wikipediaページの「本法を巡る議論」の項のシミュレーション例を見て考え、なんなら自分でもパーセント別のシミュレーションをしてみるといい。

日弁連のいうように、例えば、40%以上の投票率(以下は無効)と規定した場合、
1. 有権者の35%が投票してその8割が賛成票だった場合、有権者全体の28%が賛成したことになるが無効となる。
2. 有権者の40%が投票して6割が賛成票だった場合、有権者全体の24%が賛成したことになるが有効となる。

具体的に、有権者を1億人として百分率を除くと、
1. は有権者3500万人が投票し2800万人の賛成票だったが、投票率規定で無効だった。
2. は有権者4000万人が投票し2400万人の賛成票だったので、有効だった。

       — 前出Wikipediaページより

引用のシミュレーション例では、議論のニュートラル性の担保という配慮からあくまでいち例として「40%」という低い投票率が使ってあるが、私は最低でも80%以上の投票率がなければそれを「国民全体の意思を問うたもの」として認めたくない。いかなる「あなた」だってそうではなかろうか?たかが1回1回の、4年10年30年の「国政」の左右をどうこうするだけの衆議院選挙や参議院選挙とちがって、何といってもそれは国民全体、それもこの先50年100年200年の、何世代にも渡る国民全体の自由と幸福に関わるものであるのだから。


すべてが「最悪」の進み方をした場合、この国民投票=憲法96条の2/3賛成規定を過半数賛成規定に改めていいかどうかを問う国民投票は、1、2年の間に行われる可能性も濃厚になっているのだが、現時点での法的制度の不備を鑑みれば、その賛成/反対の投票結果は到底「国民全体の意思を問うたもの」にはなり得ず、したがって今のところ「不可能」なものであり、また「やったとしても」無効なもの、ゆえに何百億円(数えようによっては何千億から何兆)の政治・行政費用をかけてまでやるべきものではないのである。









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