ものすごくゆっくりと、でも確実に

いま生活保護の何をどう語るべきなのか?その2

2012.07.20
前回、twitterでの片山さつき氏、その(プロパーな)フォロワー、およびそれに乗っかる全ての、ファシズムにつながる危険で無責任で非理性的な流れの基本線を
・在日朝鮮/韓国人が、外国人が、怠け者が、甘えた人間が、日本人でない者が、受けるべきでない者が…等々、等々が、不正受給をしている
・ゆえに、不正受給は厳しく取り締まり、生活保護制度が正しく運用されるようにしなければならない
・さらには、ワーキング・プアより生活保護受給者のほうが所得が高いという問題を、生活保護受給額引き下げによって是正すべきだ
というふうにおおまかにまとめた。
二番めの項目から続けよう。


・ゆえに、不正受給は厳しく取り締まり、生活保護制度が正しく運用されるようにしなければならない
こんなことはもちろん当たり前のことだ。片山さつき氏が例のつまらん騒ぎを起こすまでもなく、最初っからそうであってしかるべきことなのだ。だが、この当たり前のことがいつのまにか全く関係のない方向にのみ発展している。それはおおまかにまとめれば —
・「在日韓国/朝鮮人の不当・不正な受給資格」の定義をごく一部の悪質な例を材料に拡大解釈し、「不正」の定義をどこまでも拡げようとしている
・受給要件として本来必然でないはずの親族の扶養能力を不当なまでに問い/問いつめ、「水際作戦」をより強固なものとする材料だけを増やそうとしている(加えて、扶養義務親族の範囲の拡大によっては、実質金輪際誰にも受給資格など生じない、というナンセンス状況さえ生まれ得る)
・憲法が保障している「個人としての尊重」「幸福追求の権利」をなし崩しに無化、もしくは確信犯的に無視しようとしている
・論理的にまったく正反対にもかかわらず、給付水準10%引き下げ(不正受給を厳しく取り締まるなら引き下げる必要はむしろなくなるはず)
上のひとつ、中のふたつについては、随時くわしく徹底的に執拗にストーリー混じりで語ってみたい。
結局このお題目は、当たり前のことをもっともらしく高らかに宣言して頭の悪い非理性・狂気のヒステリー層を支持層として取り込む方便として機能し、ついでにこっそりと、一番やりたかった給付水準引き下げのインパクトを軽減させるためだけに役立ったわけである。
暴力団であれ悪知恵の働く一般人であれ、片山さつき氏がわざわざ国会を使ってまで厳しい取り締まり・追及・懲罰的措置を引き受けてくれるならそれに越したことはない。だが、そんな発覚/報告ニュースはたいして増えそうにない替わりに、水際阻止の犠牲者の孤立死ニュースだけが加速度的に増えるのであろう。ピンと来てない人は今のうちに「三親等」がどこまで広いかを実感しておくべきだろう。
3親等親族表
(※検索で適当に見つけたもの。それ以外の意味は特にない)
「厳しく、正しく」は、本来受給してしかるべき人のためにであったはずが、ひたすら受給人数と総受給額を減らすためだけの非論理的な大義名分になり変わっているのである。


・さらには、ワーキング・プアより生活保護受給者のほうが所得が高いという問題を、生活保護受給額引き下げによって是正すべきだ
これはもう、多くの、論理性とフェア性の感覚を持った人が批判・非難の声を当たり前に上げているが、生活保護受給額が高すぎるのではなくワーキング・プアの所得が低すぎるのが問題なだけで、こんなナンセンスに乗るのはルサンチマンに起因するフラストレーション解消を求める者だけだ。個々の個人/世帯の生活保護受給額のモデル例の内、高すぎる(ように見える)例を挙げて、そうしたヒステリックな足の引っぱり合いを喚起させる卑劣な、そして本来なら滑稽な言説である。受給額引き下げなどというデカい変更が、十分な調査も議論も評議もなしに、何より「健康で文化的な最低限」ラインを詳細に具体的に詰めることもなしに、勝手に、ホイホイと、チャンス!とばかりに、拙速に決められてしまうことの恐ろしさをまず考えてほしい。「俺は私はこんなに辛い思いをしてなんとか必死で働いて生きてるのにアイツらときたら...」という意識がもしあなたに少しでもあれば、あなたもこのファシズム傾向の片棒を担ぐことになるのである。


さて、最初の最初のごく最初のとっかかりにこのブログの基本スタンスを示す例として、件の生活保護騒動絡みで大雑把に語ってみたわけだが、私に確固とした、しかも目覚ましい対案があるわけではない(それを言うなら誰にだってないだろう)。が、対案を出すとか、対案に向けて考え始めるとか、対案がなくとも少なくとも問題点を見抜くとか、それさえも端っから拒絶し思考停止している(というか、そもそも政治的観点を持つほどに何かを考えてもいない)なんちゃって政治議論・なんちゃって政治的言説が巷には、そしてとりわけネットにはあふれているのだ。twitterで人に「絡む」ことだけをやっているネトウヨ的な者たちはその最たる例のひとつだろう。
このブログでは、ネトウヨに限らずそうした「薄い」、そして間違った政治思想モドキ、政治思潮モドキを辛抱強く批判していくとともに、モドキでない確かな、そしてどちら寄りであっても信頼性を認め得る、しっかりとした独自の、そして願わくはアクチュアルな政治的視点や感覚を、主に無関心層(というか未関心層)に持ってもらう助けとなるべくいろんなことを語っていく。「政治のことは詳しくないが、政治についてどうしても何かを読んだり発言したりしてみたくなってしまう」 ー もしあなたがそんな人なら、このブログはけっこうアタリであるはずだ。









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2012/07/21 06:20|by -|編集
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Author:demosthenesZ
第一にリバタリアン、ある意味リベラル、ある意味左寄り。
全体主義と衆愚政治がいちばん嫌いだから、です。
twitterでも@demosthenesZ

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